『紅色海洋』:物語の力に呑まれる、700ページ超の海底叙事詩
■ お勧め度
★★★★☆(星4つ)
上下巻あわせて700ページを超える大作にもかかわらず、あまりの面白さに一気読み。物語の力を思い知った一冊。
1. 戦争後の世界、紅に染まる海へ
中国人作家・韓松によるSF作品。
戦争によって地上に住めなくなった人類は、人の記憶や文化をほとんど持たない「水棲人」を創り出し、紅く変質した生物しか生きられない海底へと送り出す。
2. 四部構成で描かれる壮大なスケール
- 第一部:水棲人の一人を主人公に、生誕から成長、そして海の王となるまでを冒険譚風に描く。
- 第二部:同じく水棲人を主人公に据えた、海底での物語。
- 第三部:時間を遡り、水棲人がどのように生まれたのか、その起源を描く。
- 第四部:歴史の“もしも”を描くパート。鄭和がポルトガルまで航海するという、歴史IF的な展開が繰り広げられる。
3. 多様なテーマが渦巻く深海の物語
人間とは何か、社会とは何か、母と子の関係、権力の起源、人喰い、人と人との関係性など、実に多様なテーマが詰め込まれている。
それでいて、難解さに陥ることなく、物語としての面白さが圧倒的。少しハードSFの要素もあるけれど、読みやすく、物語にぐいぐい引き込まれる。
4. まとめ:ページを捲る手が止まらない
戦争の爪痕が残る紅に染まった海、水棲人たちの社会や生態の描写も魅力的で、読みどころが満載。
物語の力に圧倒されながら、気づけばページを捲る手が止まらなくなっていた。まさに、物語に呑まれる体験ができる一冊。
コメント
コメントを投稿