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『某には策があり申す』:不器用にして誠実。島左近、戦に生きた男の軌跡

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 ■ お勧め度 ★★★☆☆(星3つ) 戦国時代の空気を肌で感じたい人に。合戦の臨場感と、信念を貫いた一人の武将の生き様が胸に残る一冊。 派手さはないけれど、じわじわと染みてくる読後感があります。 【中古】某には策があり申す 島左近の野望/角川春樹事務所/谷津矢車(文庫) 価格:454円(税込、送料無料) (2026/2/19時点) 楽天で購入 1. 筒井、豊臣、蒲生、石田…主を変えながら戦い続けた男 本作は、戦国武将・島左近の生涯を描いた歴史小説です。筒井順慶に仕えたのち、豊臣秀長、蒲生氏郷、そして石田三成へと主君を変えながら、左近は常に戦場に身を置き続けます。 その歩みは、まさに戦国の動乱を体現するものであり、関ヶ原の戦いに至るまでの数々の合戦を通して、彼の存在感が際立っていきます。 2. 強烈なキャラクターとして描かれる島左近 本書の左近は、ただの忠義の士ではありません。時に大胆で、時に冷静。強烈な個性を放ちながらも、どこか不器用で、世渡り上手とは言いがたい人物として描かれています。 その不器用さゆえに損をする場面もありますが、信念を曲げずに生きる姿には、読んでいて心を動かされるものがありました。 「某には策があり申す」という有名な台詞も、彼の生き方を象徴する言葉として、物語の中で印象的に響きます。 3. 合戦の描写が生きている。戦国の空気を体感できる 本書のもうひとつの魅力は、合戦シーンの描写の丁寧さです。戦の駆け引きや兵の動き、戦場の緊張感が細やかに描かれており、読んでいて手に汗握る場面も多くあります。 戦国時代の合戦がどのように行われていたのか、臨場感をもって追体験できるのは、歴史小説として大きな魅力です。 4. まとめ:策ではなく、信念で生きた武将の物語 『某には策があり申す』は、タイトルに「策」とありながら、実際には策を弄するよりも、自らの信念に従って不器用に生きた島左近の姿を描いた物語です。 筒井家、豊臣家、蒲生家、石田家と、仕える主を変えながらも、戦場に身を置き続けた彼の生き様が、合戦の描写を通して力強く浮かび上がってきます。 戦国の世を駆け抜けた一人の武将の姿を、戦いの中に描き出した本作は、歴史好きにはもちろん、合戦の臨場感を味わいたい人にもおすすめです。

『サーラレーオ』:新庄耕が描く悪。破滅へ突き進むクズたちの狂騒曲

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『サーラレーオ』:新庄耕が描く悪。破滅へ突き進むクズたちの狂騒曲 ■ お勧め度 ★★★☆☆(星3つ) 悪漢小説の醍醐味が詰まった一冊。現実逃避したい時に。「こんな人生もあるのか……」と、自分とは無縁のはずの世界に引きずり込まれる感覚を味わえます。   サーラレーオ【電子書籍】[ 新庄耕 ] 価格:1,562円 (2026/2/15時点) 楽天で購入 主人公はタイで麻薬を売買する若い男。ある麻薬の種を手に入れたことから、日本で仲間とともに大規模な栽培と売買の計画を始動させますが……。 道徳のかけらもない悪党たちが、破滅へと向かって突き進むピカレスク・ロマンです。 1. 「悪を書かせたら天下一品」新庄耕が描くクズたちのリアリティ 主人公、同棲する女、そして仲間たち。登場人物が驚くほど全員「クズ」です。 道徳観がなく、人を騙すことも平気。そんな救いようのない人々を、新庄耕さんは天下一品の筆致で描き出します。 彼らの言動があまりにリアルで、まるで実在する悪党たちの物語を覗き見ているような生々しさを感じます。 2. 悪漢小説ならではの面白さ:日常を忘れる「現実逃避」 常に死や破滅が隣り合わせにある、危機的状況の連続。 現実ではまず味わうことのない恐怖感、焦燥感、そして悪党どもの奇妙な連帯と冷酷な騙し合い。 「こんな人生もあったのか……」と圧倒されるうちに、日常の悩みなど忘れて物語に没入できる、最高の現実逃避になります。 3. むせ返るような熱気。タイの暗黒街という異世界 本作の大きな読みどころは、タイの暗黒街の生々しい描写です。 街の様子、そこにうごめく人々、そして日本とは全く異なる不穏な空気感。 私たちが一生体験することのないであろう、未知で危険な世界のディテールは非常に興味深く、物語に圧倒的な深みを与えています。 4. まとめ:一度浸かると抜け出せない、破滅の「中毒性」 『サーラレーオ』は、単なる犯罪小説ではありません。危機や破滅に向かう悪党たちの生き様には、抗いがたい「中毒性」があります。 読み進めるうちに、彼らのろくでもない人生が、なぜか他人事とは思えなくなってくる不思議な感覚。 読後にじわじわと毒が回るような、独特の読書体験を楽しみたい方にぜひおすすめしたい一冊です。

『やまめの六人』:じわじわと這い寄る不快感…土着ホラーと謎が絡み合う異色作

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『やまめの六人』:じわじわと這い寄る不快感…土着ホラーと謎が絡み合う異色作 やまのめの六人 (角川ホラー文庫) [ 原 浩 ] 価格:858円(税込、送料無料) (2026/2/14時点) 楽天で購入 ■ お勧め度 ★★★☆☆(星3つ) 壮絶な殺し合い、そして、全体的な気持ち悪さがホラー。元気のある時に読んだ方が良いホラー。   山道で事故にあった5人。謎の兄弟に次第に助けられたものの、壮絶な殺し合いが始まる。 5人の謎、助けた兄弟の謎、そして、ふと気づけば“6人”いる…? 閉ざされた山の中で、土着の風習と謎が絡み合い、じわじわと恐怖が忍び寄ってきます。 1. 「5人のはずが6人?」不穏な始まりと謎の存在 物語は、山奥の集落に集まった5人の男女が、ある目的のもとに集結するところから始まります。 しかし、ふと気づくと「6人いる」——誰が余計なのか?なぜここに?というミステリー要素が物語を引っ張ります。 この“1人多い”という違和感が、読者の不安をじわじわと煽っていきます。 2. 土着信仰と気味の悪さが織りなす、独特のホラー世界 この作品の真骨頂は、ただの恐怖ではなく「気持ち悪さ」にあります。 文章の節々に漂う不穏な空気、登場人物たちの言動、そして舞台となる山間の集落の閉塞感。 土着信仰や風習が物語に深く関わっており、読んでいるうちにじわじわと心がざわついてきます。 3. まとめ:怖さよりも“気持ち悪さ”が残る、異色のホラー体験 「やまめの六人」は、いわゆるジャンプスケア的な恐怖ではなく、読後にじっとりと残る不快感が特徴のホラー作品。 ホラー好きにはもちろん、ミステリー要素もあるので、謎解きが好きな人にも刺さるかもしれません。 ただし、読後に「なんとも言えない気持ち悪さ」が残るので、読むタイミングにはご注意を…。 「ゾッとするより、じわじわ来る不快感が好き」そんなあなたにぴったりの一冊です。

『図解でスッキリ クラウドの基本と仕組み』:クラウドの全体像が一気に見える!初心者から現場エンジニアまで役立つ一冊

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『図解でスッキリ クラウドの基本と仕組み』感想:クラウドの全体像が一気に見える!初心者から現場エンジニアまで役立つ一冊 ■ お勧め度 ★★★★☆(星4つ) 基本から最近の話題まで、図解でスッと頭に入る!   図解でスッキリ クラウドのきほんとしくみ【電子書籍】[ 大澤 文孝 ] 価格:935円 (2026/2/11時点) 楽天で購入 1. クラウドって何?から始まる、やさしい全体像の整理 この本は、クラウドの「そもそも何?」という基本からスタートし、IaaS・PaaS・SaaSといった提供形態、クラウドリフト、クラウドネイティブ、IaC(Infrastructure as Code)など、現代のクラウド活用に欠かせないキーワードを幅広くカバーしています。 特に初心者にとっては、「クラウドって結局どういうこと?」という疑問を、図と一緒に解きほぐしてくれる構成がありがたい。 2. 見開き構成で、図と説明がセット。理解が進む! この本の最大の特徴は、見開きで左ページに説明、右ページに図解という構成。 文章だけではイメージしづらい概念も、図で視覚的に補完されるので、理解がスムーズに進みます。 内容は広範囲にわたりますが、1トピックごとに簡潔にまとまっているので、辞書的にも使えそう。 3. まとめ:クラウドの“今”をざっくり押さえたい人に クラウド初心者はもちろん、最近のトレンドをざっくり把握したいエンジニアにもおすすめ。 「クラウドネイティブって何?」「IaCってよく聞くけど…」という人にとって、最初の一歩として最適な一冊です。 図解の力って、やっぱりすごい。読後には、クラウドの全体像が頭の中でつながっていく感覚がありました。

『鋼鉄の城塞』:戦艦大和に一生を捧げた男の物語。魂を揺さぶる「究極のお仕事小説」

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『鋼鉄の城塞』感想:戦艦大和に一生を捧げた男の物語。魂を揺さぶる「究極のお仕事小説」 ■ お勧め度 ★★★★☆(星4つ) ビジネスマンの心にも火をつける、情熱的な青春・お仕事小説の力作!   鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイス [ 伊東 潤 ] 価格:2,420円(税込、送料無料) (2026/2/11時点) 楽天で購入 1. 「不可能」に挑む、エンジニアと軍人たちの物語 物語の主人公は、京都大学を卒業後、海軍に入り「戦艦大和」の構想・建造、そして最期まで立ち会うことになった若きエリート軍人です。 当時は世界的に見ても「不可能」と考えられていた巨大戦艦の建造。そこに挑む仲間たちとの絆、技術的な苦闘、そしてプロジェクトを阻む困難の数々……。その過程は、現代でいえば大規模な新規事業を立ち上げるプロジェクトのようでもあり、働く人間として熱くならずにはいられません。 2. 組織の対立、スパイ事件……飽きさせない「読みどころ」の多さ 単なる技術者の成功譚では終わらないのが凄みです。。 軍内部の対立: 「大砲こそが主役(大艦巨砲主義)」と、新時代の「航空戦力」を重視する派閥の激しいぶつかり合い。 国際的な駆け引き: アメリカをはじめとする列強との考え方の違いや、緊迫感あふれるスパイ事件。 人間の葛藤: 「世界一の船を作りたい」という純粋な情熱と、「人殺しの武器を作る」という残酷な現実の間で揺れる心。 さらに、当時の世相や雰囲気、淡い恋のエピソードも織り交ぜられ、まさに**「読みどころ満載」**の贅沢な一冊です。 3. まとめ:500ページを駆け抜ける興奮 「軍艦はどうやって造られるのか?」という専門的な興味も満たしつつ、最後には一人の男の生涯を共に見届けたような深い感動が残ります。 仕事に行き詰まっている時、あるいは「かつての情熱を取り戻したい」と思っている時に、ぜひ手に取ってほしい力作です。 本当におもしろかった。 この著者の作品は、やはり間違いありません。

『終末少女 AXIA girls』:世界崩壊と少女たちの殺人劇が交錯する圧巻のミステリーSF

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『終末少女 AXIA girls』感想|世界崩壊と少女たちの殺人劇が交錯する圧巻のミステリーSF おすすめ度:★★★★★ 圧倒的でした。読み始めた瞬間から物語に引きずり込まれ、最後まで一気読み。ミステリーとしてもSFとしても完成度が高く、強烈な読後感が残る一冊です。 終末少女〜AXIA girls〜【電子書籍】[ 古野まほろ ] 価格:2,090円 (2026/2/7時点) 楽天で購入 1. 世界崩壊の中で生き残った少女たち 舞台は、地球が崩壊へ向かう終末世界。生き残ったのは少女たちだけという、強烈な設定がまず目を引きます。 閉ざされた世界で、彼女たちは何を思い、どう生きるのか。極限状況の描写がリアルで、読者は自然と物語に引き込まれていきます。 2. 少女たちの間で起こる殺人──誰が、なぜ? 終末世界で起こる「少女同士の殺人」。 この設定が物語に強烈な緊張感を与えています。 誰が犯人なのか、なぜ殺したのか、そして世界はどうなっていくのか──。 謎が謎を呼び、ページをめくる手が止まりません。 3. ミステリー × SF の融合が生む“騙され続ける快感” 本作の最大の魅力は、読者を徹底的に翻弄するストーリー展開です。 「そう来るのか」 「また騙された」 そんな驚きが何度も訪れ、読みながら何度も息を呑みました。 ミステリーとしての構造の巧みさと、SFとしての世界観の強さが見事に融合しており、圧倒的な読書体験が味わえます。 4. まとめ:圧倒的な世界観と構成力に脱帽 終末世界、少女たち、殺人、そして騙しの連続──。 これらが高いレベルで噛み合い、読後には「すごいものを読んだ」という感覚が残ります。 ミステリー好きにもSF好きにも強くおすすめできる、完成度の高い一冊でした。

『Q eND A』:先が読めない展開と独創的な設定に圧倒される

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『Q eND A』感想|先が読めない展開と独創的な設定に圧倒される一冊 おすすめ度:★★★★☆ 読み終えた瞬間に「これはすごい」と素直に思える作品でした。ページ数以上の密度があり、満足度の高い読書体験が得られます。 Q eND A (角川ホラー文庫) [ 獅子吼 れお ] 価格:814円(税込、送料無料) (2026/2/5時点) 楽天で購入 1. 独創的な設定と、読者を翻弄するストーリー まず目を引くのは、これまでに見たことのない設定です。物語の前提そのものが新しく、読み進めるほどに世界が反転していくような感覚があります。 展開はとにかく予測不能。「え、そうなるの?」と驚かされる場面が何度もあり、読み手はいい意味で何度も裏切られます。この“騙される快感”が本作の大きな魅力です。 2. 読みやすいのに、内容は圧倒的に濃い 文章は非常に読みやすく、テンポも良いのでページをめくる手が止まりません。 本自体は約270ページ(実際は272ページ)とコンパクトですが、読み終えると「もっと読んだ気がする」と感じるほど内容が詰まっています。密度の高さと読みやすさが両立しているのは大きな強みです。 3. まとめ:驚きと満足感が凝縮された一冊 とにかく展開が鮮やかで、最後まで面白さが途切れません。短めのページ数に驚きがぎゅっと詰まっており、読後の満足感はかなり高いです。 「新しい設定の物語が読みたい」「先が読めない展開が好き」という読者には特に刺さる作品だと思います。