『某には策があり申す』:不器用にして誠実。島左近、戦に生きた男の軌跡

 ■ お勧め度

★★★☆☆(星3つ)

戦国時代の空気を肌で感じたい人に。合戦の臨場感と、信念を貫いた一人の武将の生き様が胸に残る一冊。

派手さはないけれど、じわじわと染みてくる読後感があります。



1. 筒井、豊臣、蒲生、石田…主を変えながら戦い続けた男

本作は、戦国武将・島左近の生涯を描いた歴史小説です。筒井順慶に仕えたのち、豊臣秀長、蒲生氏郷、そして石田三成へと主君を変えながら、左近は常に戦場に身を置き続けます。 その歩みは、まさに戦国の動乱を体現するものであり、関ヶ原の戦いに至るまでの数々の合戦を通して、彼の存在感が際立っていきます。

2. 強烈なキャラクターとして描かれる島左近

本書の左近は、ただの忠義の士ではありません。時に大胆で、時に冷静。強烈な個性を放ちながらも、どこか不器用で、世渡り上手とは言いがたい人物として描かれています。 その不器用さゆえに損をする場面もありますが、信念を曲げずに生きる姿には、読んでいて心を動かされるものがありました。 「某には策があり申す」という有名な台詞も、彼の生き方を象徴する言葉として、物語の中で印象的に響きます。

3. 合戦の描写が生きている。戦国の空気を体感できる

本書のもうひとつの魅力は、合戦シーンの描写の丁寧さです。戦の駆け引きや兵の動き、戦場の緊張感が細やかに描かれており、読んでいて手に汗握る場面も多くあります。 戦国時代の合戦がどのように行われていたのか、臨場感をもって追体験できるのは、歴史小説として大きな魅力です。


4. まとめ:策ではなく、信念で生きた武将の物語

『某には策があり申す』は、タイトルに「策」とありながら、実際には策を弄するよりも、自らの信念に従って不器用に生きた島左近の姿を描いた物語です。

筒井家、豊臣家、蒲生家、石田家と、仕える主を変えながらも、戦場に身を置き続けた彼の生き様が、合戦の描写を通して力強く浮かび上がってきます。 戦国の世を駆け抜けた一人の武将の姿を、戦いの中に描き出した本作は、歴史好きにはもちろん、合戦の臨場感を味わいたい人にもおすすめです。




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