2026年1月12日月曜日

【読書録】『鋼鉄の城塞』:あの頃の熱量を思い出す。戦艦大和に一生を捧げた男の「青春とお仕事」

「不可能なことに、仲間とがむしゃらに挑んでいた時期が自分にもあった――」 今回ご紹介する柳広司氏の**『鋼鉄の城塞』**は、そんなかつての情熱を思い出させてくれる、圧倒的な熱量を持った一冊です。

著者への信頼感はもともとありましたが、本作もまさに「ハズレなし」。500ページ近いボリュームを感じさせないスピード感で、最後まで一気に駆け抜けました。

■ 書籍情報

  • 書名: 鋼鉄の城塞

  • 著者: 柳 広司(やなぎ こうじ)


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

鋼鉄の城塞 ヤマトブジシンスイス [ 伊東 潤 ]
価格:2,420円(税込、送料無料) (2026/1/12時点)


■ お勧め度

★★★★☆(星4つ) 仕事への誇りと、青春の青臭さを同時に味わえる「究極のお仕事小説」です。


1. 「不可能」を形にする。エンジニアたちの泥臭い挑戦

物語の舞台は、戦艦大和の建造から、その最期まで。京都大学を卒業したエリート軍人の主人公が、仲間と共に、当時の技術では不可能と言われた巨大戦艦の建造に挑みます。

巨大なプロジェクトを動かす苦労、細部へのこだわり、そして完成への執念……。その過程は、私たちが若かりし頃、がむしゃらに仕事に打ち込んでいた時代の感覚を呼び起こします。今の自分たちが忘れてしまった「純粋な熱量」が、ここにはあります。


2. 組織の対立、時代の波、そして「人殺しの道具」を作る葛藤

本作の深みは、単なる成功談に留まらない点にあります。

  • 組織の壁: 「大砲こそが主役」という旧来の考えと、新しい「航空戦」の時代の対立。現代の企業活動にも通じる、組織のしがらみがリアルに描かれます。

  • 技術者の矜持: 「世界一の船を作りたい」というエンジニアの夢と、「それは人を殺す武器である」という残酷な現実の板挟み。

  • 時代の空気感: 当時の日本の閉塞感やスパイ事件、その中で揺れる淡い恋のエピソード。

これらが複雑に絡み合い、お仕事小説でありながら、壮大な青春群像劇としても成立しています。


3. まとめ:もう一度、心に火を灯したい時に

500ページという長さを感じさせないのは、著者の圧倒的な描写力と、登場人物たちの生き様が真っ直ぐだからでしょう。

若き軍人が大和と共に歩んだ一生を見届けた時、読者である私たちの胸にも、**「仕事に就いたばかりの頃の、あの懐かしい熱量」**が静かに灯るはずです。

本当におもしろかった。 毎日を淡々とこなしている同世代のサラリーマンにこそ、この興奮を味わってほしい。そう思える力作でした。






0 件のコメント:

コメントを投稿