【読書録】『天海の秘宝』:幕末を駆ける浪人。夢枕獏が描く伝奇ミステリー、その「盛りだくさん」な読後感
幕末、江戸の町を舞台に、伝説の秘宝を巡る陰謀が渦巻く——。 今回ご紹介するのは、夢枕獏氏による伝奇アクション**『天海の秘宝』**です。 夢枕作品らしい、躍動感あふれる筆致で描かれる幕末ミステリーですが、一読者として「ここは少し好みが分かれるかも」と感じます。 ■ 書籍情報 書名: 天海の秘宝 著者: 夢枕 獏 天海の秘宝 上 (徳間文庫) [ 夢枕獏 ] 価格:836円(税込、送料無料) (2026/1/10時点) 楽天で購入 ■ お勧め度 ★★★☆☆(星3つ) 夢枕ファンならずとも引き込まれる幕開け。ただ、物語の「密度」が非常に高く、評価が分かれる一冊。 1. 気のいい浪人が巻き込まれる、江戸の闇 物語の主人公は、江戸の町で近所の子供たちに読み書きを教えて暮らす、気のいい浪人です。 その穏やかな日常を切り裂くように発生する、凶悪な押し込み強盗や謎の辻斬り事件。主人公がその謎を追い始めるうちに、徳川幕府の知恵袋・天海僧正が遺したとされる「秘宝」を巡る巨大な争いへと足を踏み入れていきます。夢枕獏氏、読み手を飽きさせません。 2. 圧巻のスケール、ゆえの「ごちゃごちゃ感」? 読みどころは非常に多い作品です。 謎の辻斬りと、その裏に潜む敵の正体 主人公自身の過去に隠された大きな秘密 幕末の歴史の裏側に絡む「天海の秘宝」の謎 ただ、正直な感想を言えば、**「少し要素を詰め込みすぎ」**な印象も受けました。登場人物もエピソードも非常に多く、物語の軸がどこにあるのかを追いかけるのが・・・です。 3. まとめ:結末の「種」をどう受け止めるか 物語の核心である「秘宝の正体(種)」についても、読後感に大きく影響するポイントでしょう。個人的には、そこまでの壮大な盛り上がりに対して、「その着地は、ちょっと……」と、好みが分かれる部分だと感じました。 もちろん、おもしろい力作であることは間違いありません。 夢枕獏さん特有の、血湧き肉躍る伝奇世界を堪能したい方にはお勧めです。ただ、もう少しシンプルに物語の芯を味わいたかったな、というのが率直な感想でした。